今回は保線機械の定番とも言える、軌道モータカーTMC200Cを紹介していきます。TMC200Cは「富士重工業」のTMC200シリーズの3番目の型式で1971年ごろから製造が始まり、20年近く製造が続けられました。製造番号は236番以降が該当します。特徴としては先代のTMC200Bよりキャブの高さが高くなり、前面の3枚窓のうち両端にある窓が開閉可能となった点でしょうか。派生形式として除雪用のTMC200CS、標準軌(1435mm)用のTMC201C等があります。
今回紹介する日本機械保線に所属していた機体は2015年の時点でJR東海管内に残存していた貴重な個体で、訓練や実習に使われていたものと思われます。『機関車表』によると『富士重工業=812 1977-11-00 D12.7tB(1067)』という個体があり、国鉄からJR東海に引き継がれています。『富士保線区(函南1998-01 岩堀春夫)』という記述があり、この時期には富士保線区に所属し函南駅に留置されていたようです。後に日本機械保線の訓練用に譲渡されたのかなと思います。
『トワイライトゾ~ン・マニュアル11』の形態区分によるとこの個体は1972年以降のキャブ前面窓が拡大し、1973年以降製造のラジエーターグリルが斜め形のメッシュ状の物になった個体だと外観からもわかります。
側面からみると全体的に整ったデザインだということがわかります。キャブもほぼ中心に位置し、後部にもエンジンがあればきれいな凸型になりそうです。後部には本来設置されているはずのクレーンが装備されておらず、どこかの段階で撤去されたものと思われます。連結器は通常の自動連結器だけではなく、トロッコ牽引用の連結器も装備しています。
製造銘板です。今は鉄道車両の製造は行っていない「富士重工業」の物です。製造番号は読みづらいですが、経歴と僅かな痕跡から昭和52年11月製造の812番だということがわかります。
種類:軌道モータカー
型式:TMC200C
製造メーカー:富士重工業
製造番号:812
製造年月日:昭和52年11月
自重:12.7t
最大長:不明
最大幅:不明
最大高:不明
配置区:技術学園←富士保線区
車番:不明
撮影場所:東海旅客鉄道静岡保線所柚木基地
撮影日:2015年3月3日
参考文献
松田務「MC~一般型モーターカー見聞録」『トワイライトゾ~ン・マニュアル11』(ネコ・パブリッシング、pp.138-162、2002年)
沖田裕作『機関車表フル・コンプリート版DVDブック』(ネコ・パブリッシング、2014年)